イギリス全土でネコ600匹を惨殺? M25キャットキラー

イギリスで、聞いたことのないような大規模な連続ネコ殺し事件が起きている。その犯人は2014年からこれまでにおよそ400〜600匹のネコを殺し続けているのだが、警察や住民の警戒もむなしく、未だに逮捕されていない。その魔の手はネコだけでなく、キツネやウサギにも及んでおり、最近ではカモメも殺し始めたという。

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クロイドンのネコ殺し

2015年10月、ロンドンの南部クロイドンで、無残に切り裂かれたネコの死体が相次いで発見された。ネコたちは鋭い刃物で殺された後、首や体を切断されていた。手口から見て犯行は同一人物によるものと考えられ、犯人は“クロイドンキャットキラー”と呼ばれるようになった。

その年の12月には警察も本腰を入れて捜査を開始したが、犯人は一向に逮捕されなかった。しかも、2014年から同様の手口で多数のネコを殺していたことが発覚する。その犯行の多くがロンドンを囲む環状高速道路M25モーターウェイの内側で起きていたことから、“M25キャットキラー”とも呼ばれるようになった。

周辺地図と事件現場(赤)。ぐるりと取り巻いている青いラインがM25モーターウェイ。Wikipediaより

警察や住民だけでなく獣医や動物保護団体も捜査に加わったが、犯人の手がかりは一向につかめなかった。2016年に入ると殺されたネコの数はさらに増え、6月には地元の動物保護団体が確認できただけで100匹を超えた。また、ネコだけでなくキツネやウサギもM25キャットキラーの犠牲となっていたことも判明した。

やがてロンドン周辺だけでなく、マンチェスターやサセックスなどイギリス各地で惨殺されたネコが発見されるようになった。2017年12月までに、イギリス全土でこのネコ殺しに殺害されたと目されるネコやキツネの総数は400匹を超えた。

M25キャットキラーの活動は現在も続いており、BBCの報道によれば2018年6月には南部のサウサンプトンでネコを殺害、7月にはイギリス南西端のコーンウォールでカモメのヒナを殺害した疑いがあるとExpressが報じている。これまでに犠牲になった動物たちの総数は600匹近いともいわれている。

M25キャットキラーの人物像

M25キャットキラーは単独犯で、40代くらいの白人男性、短い茶色い髪をしているとされる。動物保護団体が懸賞金5,000ポンド(約72万円)を提示するなど、官民ともに捜査や警戒を続けているが、正体の手がかりすらつかめていないという。

ただ一部には、500匹以上殺した“キャットキラー”など存在しないのではないかという声もある。殺されたとされるネコは、車にはねられて死んだ後、他の動物に食べられてバラバラになっただけという説である。

犯人を逮捕できないまま、イギリス全土で被害報告が続く謎多きネコ殺し事件。単独犯とされる割にやたら広い地域で活動していること、そして殺されたネコの数を考えると、犯人は実在しないという説にも一理あるような気もする。今後の展開が気になる事件である。

参考
Croydon Cat Killer (Wikipedia) 英語。
BBC 英語。
Independent 英語。

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