ロンドン・モンスター 18世紀末ロンドンを震撼させた連続暴行犯の正体

19世紀末にロンドンを大パニックに陥れたジャック・ザ・リッパーから遡ることおよそ100年前、ロンドンを恐怖に陥れた連続暴行犯がいた。その名は「ロンドン・モンスター」。1788年から1790年にかけ、ロンドンの街で次々と女性を襲った連続暴行犯である。

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女性を狙う卑劣な犯人

記録によると、ロンドン・モンスターの手口は次のようなものだった。被害者の女性に対し卑猥な言葉を浴びせた後、ナイフなどの刃物で衣服を切り裂き、臀部や太もも、胸などを切りつけた。徐々に手口は巧妙化し、膝に刃物を取り付けたり、小さな花束の中に鋭利なナイフを隠したりしたという。

当時のイラスト(Wikipediaより引用)

1788年の3月〜5月に5件、1789年の5月〜12月に8件、1790年の1月〜6月にかけて44件の襲撃があった。被害を訴えた女性は50人以上。一晩で6回もの襲撃が報告されたこともあった。

新聞報道の過熱とともにロンドンではパニックが発生した。裕福な女性は銅製のペチコート、貧しい女性はコルクの裏地などで身を守る自衛策まで講じられたという。1790年4月には、犯人逮捕と有罪判決に対して100ギニー(現代の価値にすると300万円ほど)もの懸賞金がかけられたが、懸賞金目当てに30人以上の無実の男性が告発された。

逮捕された造花職人、しかし…

事件発生から2年後の1790年6月、造花職人のレンウィック・ウィリアムズが容疑者として逮捕された。彼を特定したのは被害者の一人だった。ウィリアムズは無罪を訴えたが裁判にかけられ、二度の審理を経て有罪判決を受けて、ニューゲート刑務所に6年間収監された。

レンウィック・ウィリアムズ(Wikipediaより引用)

しかしながら、ウィリアムズ犯人説には疑問も残されている。当時、目撃者の犯人に関する証言は様々で、被害者の多くがウィリアムズを犯人だと特定できなかった。また、物的証拠も見つからなかった。さらには複数の模倣犯も存在していた可能性もあり、ロンドン・モンスターの正体が本当にウィリアムズだったのかは謎のままだ。

参考

London Monster (Wikipedia 英語版)

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