テッド・バンディこぼれ話 父親は誰なのか?

テッド・バンディ。少なくとも30人の女性を殺害した連続殺人犯。シリアルキラーという言葉は彼のために作られた。彼の人生と犯行については別記事をご覧いただきたい。

ハンニバル・レクター博士をはじめとする「ハンサムで頭脳明晰なシリアルキラー」というキャラクターにも元ネタが存在する。その名はテッド・バンディ...

さて、バンディは欧米では現在でも根強い人気があるらしく、新しいニュースが割と頻繁に出ている。その中に、バンディの父親についての話があった。それほど目新しい話ではないのだろうが、昔読んだ本やwikiなどには書かれていなかったので、せっかくなのでここにまとめておく。

テッド・バンディ(Wikipediaより引用)

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父親の正体は?

バンディ研究書は数多いが、彼の父親については大抵謎とされている。母ルイーズは未婚のまま、私生児としてバンディを産んだ。ルイーズは2012年に死去したが、バンディの父親については一切明かしていない。

稀代の殺人鬼の父親がどんな人物なのか、研究者ならずとも当然気になるところである。父親候補として名前の挙がっている人物が数人いるのだが、最近では母方の祖父サムこそが実の父親だという説がまことしやかに囁かれている。つまり、父と娘の近親相姦の末に生まれたのがバンディというのだ。

ルイーズは厳格なクリスチャン家庭に育ち、未婚で妊娠した時にも堕胎するという選択肢はなかった。彼女は一旦家を出て故郷から離れた施設で息子を産み、その後自分の両親の子として改めてバンディを引き取っている。

不思議なのは家族の反応だ。未婚の娘が妊娠となれば、当然父親を探し出し、責任をとって結婚しろと迫ってもおかしくない。厳格なクリスチャンならなおさらだ。しかも、ルイーズの父サムはひどい癇癪持ちで、家族にもしばしば暴力を振るうほどだったという。そんな父親が娘をたぶらかした挙句、未婚のまま孕ませた男を放置するだろうか?家族はバンディの父親が誰かを知っていて、なおかつ結婚を迫ることはできなかった可能性が高い。

また、ルイーズの行動にも不審な点がある。彼女はバンディが4歳の時、息子とともにフィラデルフィアの実家を出てワシントン州タコマへと移住している。タコマにはいとこ夫妻がいたというが、彼女はアメリカ大陸をほぼ東から西へ横断しているのだ。そして結婚するまでの間、わざわざ苗字を変えていた。

幼い息子を連れ、なぜルイーズは両親のいる故郷から遠方へと移住したのか? 暴力的な父を厭ってという可能性はあるが、子連れの女性が家族と離れて独立する苦労は相当なものだ。バンディは祖父母によく懐いており、祖父母もバンディを溺愛したとされる。それなのに、ルイーズは移住先としてアメリカ大陸を横断するような遠距離の街を選んでいる。よほど実家から離れたい事情があったとしか思えない。

バンディは記録上、ルイーズの両親の養子として引き取られている。そして幼少期のバンディは祖父母を両親と慕い、実の母を姉だと信じていたという。もしかすると実際に、母は姉であり、祖父は父だったのかもしれない。そう考えると、バンディの幼少期の不自然な出来事にも筋が通るのである。

アメリカで最も有名なシリアルキラーであるテッド・バンディ。7つの州で少なくとも30人の女性を殺害し、一度は逮捕されるも自らを弁護するというパ...

参考
シリアルキラーズ -プロファイリングがあきらかにする異常殺人者たちの真実- ピーター・ヴロンスキー 青土社

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