北アメリカ大陸の東海岸、アメリカとカナダの国境にあるセイリッシュ海では、時折人間の足が発見される。それもほとんどは片足だけで、体の他の部分は見つかっていない。16本見つかっている足のうち、身元が判明したのはたった5人(足は7本)だけである。
事件の記録
2007年8月20日
ジュデディア島(カナダ)に旅行に来ていた少女が靴を拾った。彼女が靴のなかに入っていた靴下を開けると、その中には人間の右足が残っていた。後に、この足は行方不明になっていたカナダ人男性のものと判明した。
これ以降、次々と足だけが見つかるようになった。
2007年8月26日
ガブリオラ島(カナダ)で男性の右足が見つかった。腐敗しており、動物がくわえて運んだ形跡が残っていた。2004年に製造販売された30cmのリーボックの靴を履いていた。
2008年2月2日
ヴァルデス島(カナダ)で男性の右足が発見される。同年6月16日には左足も見つかる。4年ほど前から行方不明だった21歳のカナダ人のものと判明したが、自殺か事故かは不明。
2008年5月22日
カークランド島(カナダ)で女性の右足が見つかる。後に2004年4月にカナダで橋から川に身を投げた女性のものと確認された。川はセイリッシュ海に流れ込んでいる。同年11月11日に左足も見つかる。
2008年6月16日
ウェストアン島(カナダ)で、同年2月2日に見つかった左足と対になる右足が発見された。
2008年8月1日
ピシュト(アメリカ)で男性の右足が見つかった。アメリカ側で最初に発見された足で、29cmの黒い競技用シューズを履いていた。カナダ側から流れてきたと推測されている。
2008年11月11日
リッチモンド(カナダ)を流れるフレイザー川で女性の左足が発見された。同年5月22日に見つかった右足の対に当たる。
2009年10月27日
リッチモンド(カナダ)のビーチで、男性の右足が見つかった。後に2008年に行方不明になったカナダ人男性のものと判明した。
2010年8月27日
ウィドビー島(アメリカ)で子供か女性の右足が発見された。検死の結果、二ヶ月ほど水中にあったと推測されている。DNA検査を行ったものの、アメリカのデータベースに該当はなかった。
2010年12月5日
シアトルの南にあるタコマの干潟で、子供か小柄な成人の右足が見つかる。24cmのトレッキングシューズを履いていた。
2011年8月30日
バンクーバー(カナダ)のフォールス川で性別不明の足が見つかった。男性ものの靴を履いており、下腿骨が残っていた。水によって自然と離断したものとみられる。
2011年11月4日
ササマット湖(カナダ)で男性の右足が発見される。30cmのハイキングブーツを履いており、後に1987年に行方不明となった地元の男性のものと確認された。
2011年12月10日
ユニオン湖(アメリカ)にかかる運河の橋の下で、黒いビニール袋に入った人間の足と骨が見つかる。
2012年1月26日
バンクーバー(カナダ)でブーツの中に入った人間の足と思われるものが見つかった。
2014年5月6日
シアトル(アメリカ)の海岸で、2008年から販売されているニューバランスの靴を履いた左足が見つかる。
2016年2月7日
バンクーバー島(カナダ)のポートレンフリュー近郊で、ランニングシューズと靴下を履いた足が発見された。同年2月12日にはもう片方も見つかっている。
2016年2月12日
バンクーバー島(カナダ)のポートレンフリュー近郊で、6日前に見つかった足と対になるものが見つかった。
なぜ片足だけ見つかるのか?
人間の片足だけ発見されるという奇妙な状況から、本事件は2008年頃から欧米のニュースで取り上げられるようになった。それに伴いいたずらも増え、ランニングシューズを履いた動物の肉が複数発見されている。
原因については複数の説が唱えられている。
一つは、セイリッシュ海近郊で起きた飛行機事故や海難事故の犠牲者の遺体の一部だという説だ。だが、DNAなどで証明されてはいない。また、犯罪との関わりを指摘するものもいる。だが、足の切断に道具を使った形跡はない。
2004年12月26日に起きたスマトラ沖地震の津波で亡くなった人々のものであるという説も存在する。人間の足は海中で死蠟化し、長い間(条件が良ければ30年以上も!)漂流する可能性があるという。津波で流されたものは太平洋を北へと漂流する傾向があることも指摘されている。
なんとも謎の多い事件である。