かつて東大がイエティの調査研究をしていたことは割と有名だが、そのときに採取されたイエティの毛の標本が日本にあるのはあまり知られていない。
この標本が収蔵されているのは札幌医科大学の標本館だ。
標本はエベレスト街道にあるパンボチェ村の寺院に保管されていたイエティの頭皮とされる毛皮から採取された。このイエティの頭皮は現地で大切にされていたものだが、数年前に盗まれてしまい、現在は行方不明だという(野口健のブログより)。
雪男を探して
標本を収蔵したのはこの大学の元生物学教授の山崎英雄氏。氏はかつて東大が中心となって行った「日本雪男学術探検隊」に参加していた。標本はその際に採取し、日本に持ち帰ったものだという。
1950年代、エベレスト登山隊が相次いで雪男(イエティ)の足跡や毛などを発見し、世界中で評判を呼んだ。各国は競うように調査隊をエベレストに送った。日本でも東大医学部教授・小川鼎三氏らが中心となって、前述の探検隊を結成、ネパールでの現地調査を行った。1959年12月のことだ。ただ、この年は記録的な暖冬で雪が降らず、足跡は発見できる状態ではなかった。
そんな中、調査隊が持ち帰ったのがこの標本である。標本は東大の解剖学研究室と上野動物園で調査されたが、結局正体は分からなかったそうだ。
医科大学の標本館は医学生や医学研究者など以外には見学すら難しい。一般人がこの標本を目にするのは難しいだろう。だが、一度見てみたい気がする。
参考
札幌医科大学標本館 収蔵標本解説
精神のエクスペディシオン 海生哺乳類の適応・進化に関する海外学術調査 最後の方にある【調査研究余滴】というコラムに雪男調査の記述あり。