精神医学の奇妙で恐ろしい治療法の数々 グロール精神医学博物館

現在では精神疾患の薬物療法は一般的なものだが、精神疾患を治す薬が初めて見つかったのは1950年代のことと割と最近のことだ。ではそれ以前、精神病院ではどのような治療が行われていたかというと、電気ショック、水責め、マラリア感染(高熱がせん妄に効くと信じられていた)など、現在では非人道的とされるものが多かった。

アメリカ合衆国ミズーリ州セントジョーンズにあるグロール精神医学博物館は、そんなかつての精神医学に用いられていた治療の様子をうかがい知ることができる場所の一つだ。実際に精神病棟として使われていた建物に、かつて用いられていた不気味な医療機器の数々が展示されている。

精神医学の負の歴史

現代の精神医学の基礎は19世紀に提唱された。以降、それまで単に狂人として収容所や自宅内に監禁され、非人道的な扱いを受けていた精神病患者たちのための病院が、ヨーロッパやアメリカを中心に次々と建設された。
グロール精神医学博物館の前身となったセントジョセフ病院もその一つで、1874年10月に開設された。

この場所を博物館にするというアイデアを思いついたのは、当時セントジョゼフ病院に勤めていたジョージ・グロール氏だ。1968年、グロール氏はイベントで16〜18世紀の精神病院で使われていた治療機器の実物大レプリカの展示を企画した。これが好評で、セントジョセフ博物館の一つとして、精神医学博物館が設置された。
その後、病院の移転により空になった建物に移転することになり、現在まで展示を続けている。グローア氏も2010年に死去するまでキュレータの一人としてコレクションの収集に関わり続けた。

拷問具のような治療器具の数々

鎮静椅子

博物館には様々なぞっとするような治療機器が展示されている。
例えば、ベンジャミン・ラッシュが考案した鎮静椅子。手足を拘束するバンドや頭部を固定して視界を覆うフード、さらに簡易便器までついている。この状態なら患者が暴れて危険なこともないし、瀉血や嘔吐剤を投与したり、冷水や温水を浴びせかけたりという治療行為がしやすいというわけだ。信じられないことに、これは当時『人道的』であるとされた。

冷水タブ

他にも、患者を冷水に素早く沈めるためのバスタブや運動させるためのトレッドミルなど、今の感覚ではとても治療器具とは思えないものが山のように展示されている。中にはアナル拡張器(痔と便秘に効くらしい…)などのよくわからない展示もある。

今行われている医療も、後の世から見ると拷問や人道に反しているように見えるのかもしれない。しかしながら、精神病患者たちがこんな器具の数々で治療を受けなくてもいい時代になったことは、単純に喜ばしいことであるのに違いない。

開館日は月〜土曜日の10:00〜17:00。入館料は大人$6.00。

参考
Saint Joseph Museums 公式サイト。英語。
Glore Psychiatric Museum (Wikipedia En) 記事内の画像はここから転載。

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