世界初の死体農場 テネシー大学人類学研究施設

アメリカ・テネシー州に『死体農場』と呼ばれる場所がある。そこでは常時人間の死体が埋められたり、野ざらしになっていたり、ゴミ袋に詰め込まれていたりする。

遺体は残虐な殺人事件の被害者ではもちろんない。医学研究のために自らの意志で献体を希望した人々の遺体である。

死体農場は正式名称をテネシー大学人類学研究施設という。遺体は法医学や法人類学の研究のために、あえてさまざまな状態に置かれている。研究者達は熱心にその経過観察をしているのだ。

死体農場の市長

実験場はテネシー大学医療センターの駐車場の裏手にある。1ヘクタールほどの敷地には20体ほどの遺体が置かれているそうだ。

この施設を創設したのは法人類学者ビル・バス。様々な条件下での死体の変化を観察し、研究するために1981年にここを作った。アメリカ法人類学の伝説的人物であり、仲間内では冗談交じりに『死体農場の市長』と呼ばれた。彼の元で学んだ者たちは法医学者や検死官として、アメリカ中で活躍しているという。

ビル・バス氏(Wikipediaより引用)

研究の目的は警察の支援だ。検死や鑑識の結果から正確な結論が導き出せるよう、基礎となるデータを提供することがこの施設の使命だ。例えば、死体に付いた虫の成長から死亡日時を推定したり、骨の一部から人種を特定したりなどの研究が行われている。また、遺体から発生する化学物質の詳細な分析なども行われているという。

ただ、ここで得られた結果が全て世界中で通用するかといえばそうでもない。気候や生息する動植物の違いによって、死体が腐敗して骨になるまでに辿る経緯は全く違ったものになるからだ。参考にはなるだろうが、そのまま当てはめるのは無理がある。ということで、その後同様の施設がアメリカに6ヶ所、オーストラリアに1ヶ所作られている。

研究内容が内容だけに、ここもやはり見学は難しい。研究者か警察関係者に限られる。

ただ、死体は別だ。献体を希望すれば、ここで研究材料としてもらうことはできるかもしれない。

(2018.8.16追記 改めて調べていたところ、今更になって世界唯一じゃないことに気づいた。タイトルと内容を修正。他の施設についてはこちらの記事を参照。)

長いこと「死体農場」はテネシー大学にしかないと思っていたが、最近改めて調べたところ、アメリカ国内にも他に5施設、オーストラリアに1施設あるこ...

参考
実録 死体農場 ビル・バス 小学館文庫
設立者による著書。様々な事件の捜査の様子に加え、中での実験についても詳しく書かれている。白黒だが画像多数。
死体が語る真実 エミリー・クレイグ 文春文庫
ここで学んだ著者が、自身の関わった様々な事件やこの施設での日々について書いている本。こっちもおすすめ。

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