人工結合双生児は若返りの最終手段? パラビオシスとは何か

パラビオシス(並体結合)という実験手法をご存知だろうか?

パラビオシス(parabiosis)とは二体の動物を縫い合わせて、血液循環を共有させる技術である。江戸川乱歩の孤島の鬼とかナチスドイツにおけるヨーゼフ・メンゲルの実験を思い出す人もいるだろうが、まさしくそれだ。人工的に結合双生児を作るのがパラビオシスである。

今も行われているマウスの結合実験

この手法は、ある動物の血中因子が別の動物の体内に入った時、どのように動くのかを調べるために使われる。実験の場ではマウスがよく使われる。
最初に行われたのは1860年代のことで、1970年代までに免疫学や内分泌学の分野でしばしば行われて多くの発見につながったが、その後は下火になった。

パラビオシスの概要

パラビオシスは結構難しいらしく、かつては結合手術もうまくいかないことが多かったらしい。結合した後も喧嘩したり拒絶したりというトラブルが当然起きる。遺伝的に同系のマウス(免疫反応が起こりにくい)を使い、結合させる前に同ケージ内で飼育し、無菌的に手術するなど注意深く実験することで、うまくいくようになったらしい。現在ではしばらく結合させた状態から再び分離させることもできるという。

究極の若返り法?

若いマウスと老齢マウスを結合すると、老齢マウスの方には若返り効果が出る。骨格筋、内臓、神経などの機能が改善し、運動能力や認知機能も向上するという。この実験で見出されたのがGFD11(growth differentiation factor 11)だ。このタンパク質はTGF-βファミリーに属し、細胞の増殖を促進する働きがあるという。要するに若返り因子である。

老齢マウスが若返る一方で、若いマウスの方には幹細胞の数が減少したり、認知機能の減退が認められた。つまり老化現象だ。若いマウスに若返り因子が見つかったように、老齢マウスからは老化因子らしきものが見つかった。CCL11(CC chemoline ligand 11)は、ニューロンの新生を減少させて学習及び記憶能力を低下させるという。

これらの研究を受けて、最近では若者の血液を輸血して若返りを図ろうという研究も出始めた。Ambrosiaという会社では、8000ドル払えば臨床試験に参加できるという。
また、彼らはパラビオシスにも興味があるらしい。人間で行うには倫理的に問題がありすぎるし、技術的なハードルも非常に高い。まず実現はしないと思うが、はっきり言い切れないところが不気味だ。

参考
老化・寿命研究最前線 総説(PDF) 中部大学応用生物学部 大塚健三氏による解説記事。パラビオシスについても触れられている。
Ageing research: Blood to blood Natureの解説記事(英語)。記事中の画像はここから転載。

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